天北線
 宗谷本線の音威子府と南稚内を結んでいた148.9kmの路線。 '89年(平成元年)5月1日に廃止。宗谷バスが代替運行中。
 北見枝幸から折り返しの列車に乗車し、7:30に浜頓別に戻って来ました。
 ホームには女子大生(?)の観光客が大勢居て,K君がそのうちの二人組に声を掛けました。どうやら昨日名寄本線の湧別支線で会ったのだそうです。広い北海道も列車本数の限られるローカル線ともなると、旅行日と行動範囲が一致していれば再会する確率も自ずと高くなるのでしょう。多分・・・・。
 そのお二人は栃木から来ているそうで、浜頓別のYHに宿泊したとのこと。

 7:43に発車した稚内行きは、左に波静かなクッチャロ湖を望んで走りました。明るい感じではない分、俗化されていないように見受けられ、通りすぎるのが惜しい気がしました。
 浜頓別とホタテで有名な猿払との中間辺りに“飛行場前”という仮乗降場があります。周囲は畑が広がるばかりで飛行場はおろか人の気配もありません。
 以前(戦時中?)この近辺に飛行場の建設計画が浮上したものの実現せず、駅名のみ飛行場前のまま改められなかったらしいのです。
飛行場前
 小石から曲淵にかけての17.7Kmは、信号所も仮乗降場もなく、日本一長い駅間距離です。沿線は森林が連なるばかりでした。
 嬉しいことに北上するに連れ天候が回復して来て、車窓では周囲の緑を背景に白樺が日差しを受けて一際映えていました。

 稚内が近付き左手のなだらかな丘の上に、利尻富士の頂付近が見え隠れし始めました。早く全景が見たい!!
 天北線最後の仮乗降場宇遠内を過ぎる頃には周囲に住宅地が広がり、家並み越しに青い宗谷海峡が見えました。
 9:35、南稚内に到着。このまま終点稚内まで乗り続けたくなりました。しかし予定通りここで交換する上りの旭川行き普通列車に乗り換えます。このあとノシャップ岬に行くというK君と数日後に無事再開することを祈りながら、腰を上げました。
「あまり生水は飲まんように(^^)」
 今朝音威子府で顔を洗った時、僕が平気な顔をして水道水を飲んだことが気になったのか、K君が分かれ際に声を掛けてくれました。
 古びた跨線橋を渡り反対側のホームに向かうと、待つこともなく旭川行きの普通列車が滑り込んで来ました。
 DD51を先頭に旧型客車が2両、郵便車が1両、荷物車が1両連なっていました。ここへ来て、ようやくレッドトレインから逃れられました。

 もしかして観光客で満員ではないかと心配していましたが、乗客はわずかだったので楽に海側の席を確保し、窓を全開にしました。
 9:38に南稚内を発車した列車は熊笹に覆われた丘を軽やかに登り始めました。周囲に高い木はなくのっぺりとした感じで、これまでとは異なる景観です。5〜6分そのような所を登り続けたでしょうか・・・・いきなり視界が開けて大海原が広がり、利尻富士が全容を現わしました。
利尻富士  山頂付近にはわずかながら雪を冠しているのも、くっきりと見えました。
 通り掛った車掌が僕に言いました。
「素晴らしいでしょう?」
「素晴らしいですね。」
 思わずそう答えました。

 9:50。次の抜海に到着。一旦静止したあとガクンとあとずさり、そして何も物音がしなくなりました。
 これが僕は堪りません。これぞ客車旅の醍醐味、と思う瞬間です。
抜海駅  8分間停車するとのことで、特に用はありませんが、駅前に出てしばし佇みました。
 1ヶ月ほど前、高校の教育の一環として鑑賞した映画「南極物語」にこの駅が登場していました。
 スッキリと晴れ渡った青空の下の抜海駅。
 佇む男はモチロン高倉健ほど渋くはありません(笑)。ただそのシーンと全く同じ場所、似た状況に自分が居ることが不思議に思えました。
 列車は目立つ人工物が、駅の付近以外には何もないサロベツ原野の中を南下しました。
 早朝から行動し多少疲れを覚えます。しかしジュースを傾けながら焦点の無い景色を眺めていると、最高の贅沢をしているのかもしれないな・・・と感じました。部活の仲間は今頃汗だくになって校庭を走っているだろうし。

 11:13。羽幌線の分岐駅幌延を発車。ここからは道北の大河。天塩川に沿って走ります。
 その天塩川は、やや水量が少ないようでした。

 佐久−筬島間の神路は山峡の仮乗降場。道内時刻表でも通過マークになっているにもかかわらず停止し、稚内行きの臨時急行「礼文51号」の通過を待ちました。
音威子府にて。  12:53。約8時間振りに音威子府に戻ってきました。
 14分停車するのでホームの立ち食いそばで腹ごしらえすることにしました。
 他の多くの客も同じことを考えており、そば屋は大繁盛。車掌も店員と何やら言葉を交わしながら、そばをすすっていました。

 空腹を満たしたため、14:17着の名寄で下車するまで睡魔との戦いでした。

 つづく