その4
 遅延のため上総中野では車内点検が済み次第すぐ折り返しました。デジカメはこの画像を撮影するのが精一杯でした。
 15:56。大原行き106D「急行6号」は52分遅れて上総中野駅をあとにしました。大多喜までは普通列車として運行されます。
 終点大原駅には42分遅れの16:47に到着しました。「これでJRが停まっていたら痛いなぁ・・・」
 その思いは杞憂に終わり、16:55発の特急「新宿わかしお号」はほぼ定刻に到着しました。

 しかし順調に走行していた「新宿わかしお号」は、僕が下車する蘇我駅を前にして信号停車したまま動かなくなりました。ここは蘇我駅の二つ手前の誉田駅です。車内放送で蘇我駅構内の線路点検中のため進めないと伝えられました。

 「まぁ本日中には帰宅できるだろう。」

 僕は通りかかった車内販売でコーヒーを購入して雪のホームを眺めながら寛ぐことにしました。
 誉田駅の積雪量自体はそれほど深刻なものでは無いな、と楽観視する一方で長期戦の予感もした僕は食料の調達も考えましたが、取りあえず様子を見ることにしました。
 列車は乗務員曰く25分遅れて誉田駅を発車しました。やれやれと思っていると今度は蘇我駅の手前で再び停止・・・
 結局蘇我駅に到着したのは、ほぼ1時間遅れの18:35でした。
 僕は粉雪が舞う中で運行再開の気配が薄い列車を撮影しました。他の乗客は「物好きなおっさんがおるわ」と思ったでしょう。しかし次第に身体が冷えてきたため、撮影を切り上げて橋上駅舎へのエスカレーターに乗りました。

 この時内房線は運行見合わせ中でした。外房線はというと普通列車が1本発車したあと動きがなくなりました。そして運行再開を待つ多くの利用客は、吹き付ける寒風を避けるべく駅舎内の通路の壁際で佇んでいました。ごった返すまでは至りませんが異様な光景です。

 「雪は降り止まないにしろ、外房線の下り列車が1本出たのだから内房線の運行再開も時間の問題なのでは?」 僕はそう思っていました。
 おそらく他の利用者の中にも同様の考えを持った方がいたでしょう。伝えられていた千葉駅構内の線路点検は、そろそろ終わるだろうと。
 しかし期待は打ち砕かれました。千葉駅に続いて木更津駅構内の線路点検も始まったのです。場内放送は内房線の運行再開の目途が立たないと伝えました。

 「これは間違いなく明朝まで動かないな。」 そう考えた僕は自宅までの数キロメーターを歩きました。
 その道中で渡った内房線の踏切は、やはり下り列車の通った形跡がありませんでした(画像右が蘇我方。左が木更津方。つまり複線の左側が下り線)。
 線路上の真っさらな雪面を寒風に耐えながら撮影していると「不要不急ならば外出を控えるように」という忠告が甦りました。
 ちなみに内房線の運行が再開されたのは翌朝のことです。
房総雪譜 〜 いすみ鉄道の冬景色 〜
1ヶ月後の撮影記はこちらです。