旅の終わりの哀愁は空の彼方へ 豊肥本線
 「あそぼーい!101号」から下車した若者と家族連れの2組の姿が消えて、正午前の赤水駅は深閑としました。

 前方には晴れ間からさす陽光に照らされた阿蘇外輪山が望まれました。その山肌は緑濃い部分もありますが、枯草に覆われているのか薄い黄土色をした部分が多くを占めています。
 日差しを浴びて暖かそうに見える外輪山と真昼らしからぬ陰鬱な下界のコントラストが、不思議な雰囲気を醸し出していました。当地に住む方々には見慣れた故郷の風景のひとつなのでしょう。 ※赤水駅周辺を陰鬱な街と貶しているわけではないので念のため。
立野駅〜赤水駅付近の地図です。

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 駅前に出てみましたが客待ち中のタクシーが1台いるだけで人影はありません。

 時間に余裕があれば近在の温泉に浸かるのも一興でした。しかし、僕はまもなくやってくる12:05発の肥後大津行普通列車432Dで来た道を引き返すため無理でした。
 更に肥後大津駅からはバスで15分ほどの阿蘇くまもと空港に向かい、14:50発のソラシド エア(SNAスカイネットアジア航空のブランド名)羽田空港行き018便で九州を発つ行程でした。
 「あそぼーい!101号」を終点宮地まで乗り通して、折り返し「あそぼーい!102号」で引き返しても018便に間に合いました。そうしなかったのは、時間の余裕を見たのと同102号の指定席特急料金が別途必要だからです。

 結果的に次の432Dがこの旅で最後に乗車する列車だったのです。今一つすぐれない寒空の下、僕は旅の終わりの寂しさを噛みしめていました。
外輪山を背にして到着する432Dです。
スイッチバックを経て・・・
立野に到着。宮地行き「九州横断特急4号」と交換しました。
 12:39。終点肥後大津に到着しました。動画は赤水駅から肥後大津駅までをまとめました。

 向かい側のホームに到着した815系電車は熊本からの快速「豊肥ライナー」です。この列車は6分後には熊本行普通列車として折り返します。

 「これに乗車して隣の原水駅くらいならば寄り道しても大丈夫かな? ってか余裕でしょう!」

 そんな感じで乗車への衝動に駆られる僕でした。
 いや。ここは冷静になろう。
 
 空港に行けば旅の初日に博多駅で食べそびれたラーメンを堪能できるし、土産物を物色する時間もたっぷりあるのだから。そう考えた僕は予定通り肥後大津駅南口から阿蘇くまもと空港への無料バスに乗車しました。「九州の幸福な鉄道フリーきっぷ」はお役御免です。
 バスに揺られつつ、自宅への土産は馬刺しかなぁ? 勤務先へは高菜漬け陣太鼓あたりが良いかな?などと考えるうちに空港に到着しました・・・ と下車して空港ロビーに入ったところ、様子がおかしいことに気付きました。何か普通ではない慌ただしさが漂っていたのです。

 不安な気持ちを抑えて、且つ急いで空港会社のカウンター付近に掲示された情報を確認すると、午前中の羽田空港行きの便が未だに飛んでいないどころか、機材が羽田空港で待機中でした。


 理由は降雪と強風による羽田空港の閉鎖です。


 僕はSNAのカウンターにチェックインを申し出るとともに担当受付嬢にフライトの可否を尋ねました。
 彼女の返答はほぼ予想通り。「羽田空港がこの状況ですので・・・」でした。
 若く美しく、そして柔らかい応対の中に「本日中に東京に行きたいのならば今すぐ別ルートに変更するのが得策です」と訴える眼力を感じました。

 「貴女の気持ちはよぉ〜く分かった!」

 と勿論口にすることはありませんでしたが、僕は入手していた羽田行のチケットをキャンセルして、代わりに13:30発の全日空伊丹空港行き1626便の席を確保しました。まもなく搭乗開始となる便です。

 SNAの羽田便チケットが早期割引で諭吉先生1.5人分だったのに対し、ANAの伊丹便チケットは通常料金で先生2.5人分。更に新大阪から千葉までのJR特急券、乗車券を購入するには先生2人分程度必要です。

 家族旅行ならばどうなっていたことか。冒頭でのフラグ云々がここへ来て発動したのかも・・・
 大阪経由で帰還することを妻に伝えたあと大急ぎで土産売り場に向かいました。
 1626便はプロペラ機でした。航空機に全く明るくないので間違っているかもしれませんが、ボンバルディアDCH8-Q400という機材のようですね。ちなみに土産は自宅用の馬刺しを買うのが精一杯でした。
 その他は大阪で調達するほかありません。おそらく同僚からは「なぜに大阪土産?」と聞かれることでしょう。
 気流の状態が劣悪のため、見えない起伏を辿るような揺れ方をしていました。機長の言葉を要約すれば「さまざまな高度を試しましたが打つ手なし。ご了承ください」とのことでした。(笑)
エアーポケットのスリルを堪能しつつ(?)僕の取った行動は時刻表の熟読。理由は・・・
大阪着いたら何処行こか?!
 ・・・です。大枚叩いての寄り道ですもん。せいぜい楽しまねば。